建築の手帖

カテゴリ

最近のブログ記事

アーカイブ

建築の手帳

chapter6 「スローウッド」

木のはなし第1回目でお話した新月伐採について、実際にそれを実行している木材業の方に会ってきました。新月伐採したものとそうでないものでは見た目は全く変わらないのですが、虫が付かない、カビにくい、狂いが少ない、割れが少ない=長持ちすることを様々なデータ・写真・実際の材料で説明してもらいました。

 

木は地中から養分を摂取して成長していくわけですが、木の中の養分(デンプン)が新月期は少なく、それ以外の時期に伐採した木だと、デンプンが木の中に残っていて、それに虫が集まってくるそうです。丸太に冬芽を形成し始める9月から春先までの満月から下弦の月を経て新月となる間が絶好の伐採期だそうです。

 新月伐採をするだけでなく、「葉枯らし:伐採後も枝は切り取らず木の養分を葉に吸収させつづけ、養分がなくなり葉が自然に枯れるまで待つこと」に約半年かけ人工乾燥は行っていません。天然乾燥のメリットは、歩留り(原木から製材に利用できる割合のこと)のよさや色艶、香りだけでなく、最大の利点は製材をするまでのエネルギーの使用量を格段に低く抑えることができます。

葉枯らし.jpg

オーストリアのチロル地方で製材・建築業を営むエルヴィン・トーマ氏により広まり、日本でも最近話題になっている新月伐採。この概念は昔からあったものの、世の中「早く」「安く」ということが当たり前となり、木を使った家作りも「ファースト」が良しとされてきました。

ですが、木材は50年100年と時間をかけゆっくり生産されたもの。

必要なときに必要なだけ木を切って、木に負担をかけないよう自然のままに乾燥させて、良質な材を作り、加工して商品にする。スローライフならぬ「スローウッド」 の時代がそこまで来ているような気がします。

  

会社概要人材募集個人情報保護方針アクセス方法お問い合わせサイトマップ推奨環境について