2年ほど前に長年親しんできたバイクから足を洗いました。
もともとは学生時代から乗り回していたのですが、お決まりの「子供が生まれて…」で封印してから二十数年ののち、これまたよくあるリターンライダーとして復帰して乗り始めたのが《カワサキ・バルカン400》。ところがこいつが図体はでかいのにパワー不足のため走っていてもイライラが募るばかり。
そのうっぷん晴らしもあって乗り替えたのが《スズキGSX1400》という当時国産では一番排気量のでかいバイクでこれがまたよく走ったのなんの。信号GPでは常にぶっちぎりで気分爽快の日々。ただ、そうはいってもやはり”トシ”のことがちらりと頭をかすめ、すぐにアクセルを戻して流れに乗っての模範運転となるのが常でしたが。
このバイクでは実によくツーリングに出かけました。近場へは毎週のように、3泊4日クラスのちょっと長目のツーリングにも時機を見ながら結構頻繁に。
真夏の能登半島一周では暑さでバテてヘロヘロになり、和歌山県の高野龍神スカイラインをブッ飛ばした後で泊まった宿坊の坊さんからは少々説教じみたお話を聞かされ、西伊豆スカイラインでは強風で危うく崖から転げ落ちそうになったり、呉の大和ミュージアムを見てから四国へ渡り室戸岬を周って帰る長いコースでは疲労困憊のあまり居眠り運転状態になったりと、とにかく良くも悪くもいろいろな思い出がありますが、ハイライトは何と言っても長年夢見たライダーの聖地北海道一周の一人旅。
敦賀からフェリーに乗って2日後にあこがれの地に降り立った時にはトシを取ってから絶えて久しくなかった『感激』の心持を味わうことになりました。
65歳のジイさんは妙に元気で事故も起こさず病気もせずに2週間後充実感を胸に無事に帰ってきましたが、周囲の目は「よくやるよ…。」という感じ。ジイさんライダーも結構沢山走っていたんですけどねぇ。
それはともかく、私もそれなりに考えていまして、事故ったりして「年寄りの冷や水だ、ミットモナイ。」といわれる前にバイクには区切りをつけると決めており、それが65歳。ですから自分の中での最後のチャンスで一つの夢をかなえることができたわけです。
ライダー卒業後は健康のことも考え2輪がやっぱり好きだからということもあってチャリダーに変身。
しかし、ママチャリと違って最初はなんだか乗りにくいしバイクと違って疲れるし尻は痛くなるし、の状態だったわけですが、最近は風を切ってしかも自力で走っていくのはやっぱりいいもんだとの気持ちを新たにしています。
人生の中には自分自身で区切りをつけていくべき場面がいくつもあります。
ただバイクに関しては、実は自分ではまだまだ乗りこなせると当時は思っており、あらかじめ自分で決めたことながら内心では未練たらたらだったわけですが、今ではその時の決断は正解だったと思っています。
チャリンコを相棒にしてから、以前はかなりせっかちだったのが多少スローライフ的な生き方に変わってきたかなと思う今日この頃ではあります。