建築の手帖

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chapter4 「気づかい・木づかい」

木はどのような用途で使われているのでしょうか。日本ですと建築物や紙などの産業用としての用途が主ですが、世界単位で見ると産業用よりも薪や炭などの燃料に使われているほうが多いそうです。

そういえば私の幼少の頃は、年の瀬になると母や祖母が正月餅を作るために朝早くからかまどでもち米を炊き、風呂は五右衛門風呂だったのでお湯がぬるくなったら薪を投入して、今のガスや電気とは違い追い炊き機能などなかったので、風呂から出る際に上蓋をするのを忘れ、よく怒られたものでした。

薪イラストのコピー.jpg

それから、高度経済成長とともに石油の時代が幕を開け、生活様式も変わり、今は燃料用としての木材といえばホームセンターで見かけるバーベキュー用の炭くらいしか思い浮かびません。しかし2年前より新たに燃料として木を使い始めた花卉(かき)会社があります。冬の寒い時期に重油を使って室内の温度を暖かく保ち、花を育て、日々の出荷に対応していたのですが、2年前に石油価格高騰による収益の圧迫を避けるため、焼却炉やボイラー、導管パイプなどの設備を増強し、木を燃料とすることにしたのです。 この石油価格高等により廃業または冬場の生産をストップする同業者が数多くいた状況下での決断は、設備の投資に費用はかかったものの、ここ2シーズンの燃料代は劇的に下がったそうです。燃料は杉や桧の間伐材丸太で、月に2回トラックでの入荷があり、その丸太を短い長さに切って焼却炉に入れやすいサイズにします。 一定時毎に材料を投入しなければならない手間のかかる作業ですし、もちろん火の元にも細心の注意を払わなければなりませんが、話を聞いていても「すべてはお客様のためである」との強い思いを感じました。 今、私たちの周りの森林を保全・整備していくには間伐は欠かせないものですが、その間伐材が建築用途だけでなく、このような形で利用されていけば今よりも美しい緑に囲まれた環境を作ることにつながるのではないかと思います。   ふと、昔を思い出した話でした。

  

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